以前もお伝えしましたが、タトゥーケアとしての「ワセリン」について、改めて解説します!
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「ワセリン」とは、石油からの精製物です。黄色ワセリン、白色ワセリン、プロペト、サンホワイトという順に精製度が高くなり、皮膚表面に膜を張り、角層の水分蒸発を防ぐ目的で使われることが多いです。
特にタトゥーにおいては、施術中の傷をほこりなどから保護したり、止血のサポート、ニードルの滑りをよくしたりする意味でも使われることが多いです。(ボクシングなどの試合でも傷口にワセリンが塗られたりしますよね、その目的も同様なのです)
このワセリン、これまではタトゥーケアとしても使われるのが一般的でもありました・・・しかし、近年では、世界的にもタトゥーのアフターケアには向かないと言われることが多くなってきました。タトゥー大国アメリカでは、アフターケア製品に「No-petroleum jelly(ワセリン不使用)」と表記しているものもあるほどです。
では、なぜアフターケアには向かないのでしょう??その理由は・・・
■インクとの相性が良くない
せっかくタトゥーを入れたなら、入れたままの色ツヤ、ラインをキープしたいもの。米国皮膚科学会の文献では、ワセリンがインクとの相性がよくないため、色あせの原因になることを指摘しています。
■毛穴の詰まり
ワセリンは、皮膚の表面を水に溶けない油膜を作り、水分の蒸発を防ぎます。出血しているようなできたばかりの傷であれば、油で覆って保護する意味で有効なのですが、タトゥーを入れた後に継続的に使うとなると”油で覆いすぎる”のです。毛穴に詰まり、逆にニキビやぶつぶつなどの炎症を引き起こしてしまうこともあります。
■油膜感
ワセリンを塗ることで、水分を封じ込めると同時に雑菌も封じ込めてしまいます。本来なら傷は洗浄して清潔に保つことが大切ですが、油膜が水を弾いてしまうので、洗うのも大変。
また特に塗った食後はベタベタが強いので、どうしても衣類についてしまうということも。毎日使うには勝手があまりよろしくありません。
■脂漏性皮膚炎の悪化
皮脂の分泌が活発な部位にできる湿疹。皮膚に常在している菌の一種が皮脂(油)を栄養として増殖することで、皮膚に炎症を起こしカサカサが悪化してしまいます。このタイプの方にはワセリンは向きません。
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逆に・・・!!
以下の場合のケアは、ワセリンが向いている場合もあります。
■唾液がつく粘膜
たとえば、常に唾液で流されるような口内、唇などを保護するにはワセリン一択です。リップのアートメイク、おすすめはしませんが口内に入れるタトゥーの保護としてはワセリンは有用とされます。
皮膚(粘膜ではなく)にタトゥーを入れたら、ケアは「アフターケアクリーム」がピッタリです。