今回のストーリーは、背中一面の豪華な和彫り。でも、よく見ると・・・
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今年、還暦を迎えます。
若い頃から刺青を入れたいと思いながら、
人生を歩んできて
入れずに過ごしてきました。
3年前にステージ4Bの癌を患いましたが、
2回の手術と抗がん剤治療で今は
普通に生活しています。
病気を機にどうしても入れたいと思い、
2年前に彫り始めました。
背中は約1年程で、
今は肩から腕をやってもらっていて、
最終的には「胸割り8分」に
しようと思っています。
仕事が自営業で、若い頃は子供が4人もいて、
刺青など入れる余裕もなかったのですが、
40代半ば頃には
子供達も独立するようになりました。
私はファッションが大好きで、
50歳になってから現在までの約10年間
洋服はヴィトンしか着ていません。
LVファッションが大好きなので、
背中の鬼若丸の帯には
モノグラムを入れてもらっています。
〜S様からのストーリー〜
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「刺青・タトゥーは生き様」とよく聞くけれども、正真正銘の本物の“生き様”とは、まさに、このことなのでは?とも思ってしまいます。
ご病気のこともしかり、その人だけが歩んできた、人生の時間と背景が、重みとなって皮膚に刻まれ、刺青をさらに強く、美しく際立たせてくれる・・・
いや〜、カッコいい。
よく見たら、鬼若丸の帯にヴィトンのモノグラムの模様が織り込まれているところも、最後に顔面パンチを喰らったような、そんな気持ちになります。
「健康な身体なら、自分に負けず、心を折らず、耐え抜け」と。
・・・人生、ますます精進いたします!
■「鬼若丸」:
生まれつき体が大きく、強すぎて手がつけられないほどだったことから「鬼のような子」と呼ばれ、「鬼若丸」と名づけられたとされます。強さ・不屈などの意味があります。
こんな素敵なお話をお聞かせいただき、素晴らしい彫り物を拝見させていただき、誠にありがとうございます。どうぞお身体第一にお過ごしくださいませ。